• 首藤健太郎

混声合唱とピアノのためのソナタ第2番 について⑥ 第3楽章について

 こんにちは!


本城先生率いるパナソニック合唱団さん委嘱作品


混声合唱とピアノのためのソナタ第2番 について、前回の⑤では、第2楽章について、詩をどのように扱い、どのような音を書いたかという話を、作曲手順を含めて書き表しました。


 今回の⑥では、第3楽章について少しずつお話ししていきます。

(実は3楽章→1楽章→4楽章→2楽章という順で書いたことをここに書いておきます。)


 第3楽章は、サラバンド×スケルツォです。テンポも雰囲気も違うこの二つの様式をどのように組み合わせたと思いますか?


 まず、サラバンドについて少しお話しします。


 サラバンド(sarabande 仏、sarabanda 伊)は、3/2や3/4拍子で、荘重な趣の緩やかなテンポの曲調で、古典組曲では第3曲目が定席です。基本的には、旋律は歌謡的で和声的な音楽です。1拍目と、2拍目の付点リズムにおける重点が、リズムとしての大きな特徴です。

 歴史としては、中米からスペインへ渡りヨーロッパに広まっていったといわれています。

 

 私はこのリズムの特徴に、ある種の強さや怒りを感じることがあります。


 次はスケルツォです。スケルツォ(scherzo 伊)とは、イタリア語で「冗談」という意味を持ち、古くは気まぐれな曲を指す言葉として使用されていたそうです。ベートーヴェンの時代くらいから、メヌエットに代わってスケルツォがソナタや交響曲の主に第3楽章に採用されていきました。多くはABAの3部分による形式です。曲調はというと、Aの部分は、何と言ってもテンポが早いこと、強弱の差が激しいこと、器楽的であることでしょう。Bの部分は逆にテンポが落ちて、歌謡的な旋律であることが多いです。3拍子あるいは複合拍子で書かれるタイプの曲です。

 個人的には、スケルツォというと、シベリウスの交響曲第2番(6/8拍子)、デュティユーの交響曲第1番(6/16拍子)のものを想起せざるを得ません。前者は高校生の時にコントラバスを担当して思い出深く、後者は大学生になってから聞いた交響曲で最も感動した作品の一つです。


 さて、2つの違う性質を持つ様式を合わせるために、いくつか考案した方法があるのですが、そのなかで一番しっくりきた書き方があります。

6/16拍子スケルツォで3小節分をサラバンドの1小節分として扱う、すなわち、サラバンド側から見ると、1拍を6分割したものをサラバンド1小節分の長さのなかに3拍分もうける。」というものです。書き方はもちろん、テンポ感としても一番納得いきました。

 スケルツォの高速テンポ感を持ちつつ、アクセントはサラバンドというハイブリッドなビート感が生まれます。怒りの感情表現としとても合います。


 選んだ詩も掲載しましょう。

・・・・・・・・・・・・・

  怒れる 相

 

空が 怒つてゐる

木が 怒つてゐる

みよ! 微笑が いかつてゐるではないか

寂寥、憂愁、哄笑、愛慾、

ひとつとして 怒つてをらぬものがあるか


ああ 風景よ、いかれる すがたよ、

なにを そんなに待ちくたびれてゐるのか

大地から生れいづる者を待つのか

雲に乗つてくる人を ぎよう望して止まないのか

・・・・・・・・・・・・・


前半5行を3行と2行に分けAとBとし、後半4行をCとして、ざっくりいうとABACABAの複合3部形式に組み立てました(最初のAはリピートありです)。

様々な仕掛けをしてあるので、これは、特にリズムの説明抜きで、お客様には体験していただけたらと思います。

 

 ぜひ、少しでも多くの方に、今年2020年9月5日(土)のパナソニック合唱団さんの定期演奏会にお越しいただき、演奏をお聞きいただければと思います。

 パナソニック合唱団さんのHPには、演奏会情報がいつアップされるのでしょうか?楽しみです!みなさんもチェックしてみてください!

 パナソニック合唱団さんのHPはこちら


 それでは、今日はこの辺で。

次回は、最後の第4楽章についてお話ししてみようと思います。



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